血圧

血圧の基準値と正しい測り方

血圧の数値を入れると、最新の高血圧ガイドライン(JSH2025)の基準で分類と目標値との差がわかります。家庭で測った血圧と病院で測った血圧の違い、家庭用血圧計の選び方、高血圧のリスクまでまとめて解説します。

血圧判定チェック

測った場所
mmHg
mmHg

家庭血圧は、朝と晩にそれぞれ2回測った平均値(できれば数日分の平均)を入れると正確です。

家庭血圧 -mmHg -
高血圧の診断基準
降圧目標(JSH2025)
分類上(収縮期)下(拡張期)

※この判定は目安です。高血圧の診断や治療方針は、複数回の測定結果をもとに医師が判断します。

血圧とは

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。心臓が縮んで血液を送り出すときの最も高い値を収縮期血圧(上の血圧)、心臓が広がって血液をためているときの最も低い値を拡張期血圧(下の血圧)といいます。

血圧は1日の中でも大きく変動します。一般に朝起きてから上がり、日中は活動や緊張、寒さなどで高くなり、夜の睡眠中に下がります。1回の測定値だけで判断せず、同じ条件で繰り返し測ることが大切です。

日本の高血圧の人は約4,300万人と推計されていますが、その多くが自分の高血圧に気づいていなかったり、治療を受けていても目標値まで下がっていなかったりするとされています。

血圧の基準値と分類

日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、血圧を次のように分類しています。家庭で測った血圧は、診察室の値より5mmHgずつ低い基準になっているのがポイントです。

分類診察室血圧家庭血圧
正常血圧120未満 かつ 80未満115未満 かつ 75未満
正常高値血圧120~129 かつ 80未満115~124 かつ 75未満
高値血圧130~139 または 80~89125~134 または 75~84
Ⅰ度高血圧140~159 または 90~99135~144 または 85~89
Ⅱ度高血圧160~179 または 100~109145~159 または 90~99
Ⅲ度高血圧180以上 または 110以上160以上 または 100以上
(孤立性)収縮期高血圧140以上 かつ 90未満135以上 かつ 85未満

※単位はmmHg。上と下で分類が異なる場合は、高いほうの分類になります。

高血圧の診断基準と降圧目標

診察室血圧家庭血圧
高血圧と診断される値140/90以上135/85以上
降圧目標(下げる目標)130/80未満125/75未満

2025年の改訂では、降圧目標が年齢にかかわらず診察室血圧130/80mmHg未満に統一されました(以前の2019年版では、75歳以上などは140/90mmHg未満とされていました)。また、120/80mmHg以上を「血圧管理の対象」と位置づけ、高血圧になる前の段階から生活習慣の見直しを始めることが重視されています。ただし高齢の人などは、ふらつきなどの副作用に注意しながら、一人ひとりの状態に合わせて下げていくことが勧められています。

家庭血圧と診察室血圧の違い

病院や健診で測る血圧を診察室血圧、自宅で自分で測る血圧を家庭血圧といいます。ガイドラインでは、診察室血圧と家庭血圧の診断が異なる場合は家庭血圧を優先するとしています。家庭血圧は毎日同じ条件で何度も測れるため、ふだんの血圧をより正確に表し、将来の脳卒中や心臓病のリスクともよく関係するからです。

家庭の基準が5mmHg低い理由

病院では緊張や移動の影響で血圧が高めに出やすく、リラックスした自宅では低めに出やすいためです。そのため、同じ「高血圧」でも家庭血圧では135/85mmHg以上と、診察室(140/90mmHg以上)より低い値で判定します。

白衣高血圧と仮面高血圧

タイプ診察室血圧家庭血圧特徴
白衣高血圧高い(140/90以上)正常(135/85未満)病院でだけ高くなる。すぐに薬が必要とは限らないが、将来高血圧になりやすく経過観察が必要
仮面高血圧正常(140/90未満)高い(135/85以上)健診では見逃されやすい。早朝や夜間、職場のストレスで高くなるタイプがあり、脳卒中や心臓病のリスクが高い

健診で「正常」と言われていても、家庭で測ると高いことがあります。とくに朝の血圧が高い「早朝高血圧」は脳卒中との関係が深いとされ、家庭での測定でしか見つけられません。

家庭用血圧計の選び方

家庭用血圧計にはいくつかのタイプがあります。正確に測るために、次のポイントを確認しましょう。

1. 上腕式を選ぶ

タイプ特徴向いている人
上腕式(腕帯を二の腕に巻く)測定姿勢の影響を受けにくく、正確に測りやすい。ガイドラインで推奨されているタイプほとんどの人。初めて買うならこのタイプ
手首式小型で持ち運びやすい。手首を心臓の高さに合わせないと誤差が出やすい外出先でも測りたい人(上腕式と併用)
指式誤差が大きく、正確な測定には向かないおすすめしません

上腕式には、腕帯を自分で巻く「腕帯巻き付けタイプ」と、筒に腕を通すだけの「アームイン(全自動)タイプ」があります。巻き方で誤差が出るのが心配な人や、家族で使う場合はアームインタイプが便利です。

2. 腕の太さに合う腕帯(カフ)か確認する

腕帯のサイズが腕に合っていないと、正しい値が出ません。腕が太い人や細い人は、対応する腕周りのサイズを確認し、必要に応じて大きめ・小さめの腕帯を選びましょう。

3. 記録機能・平均値表示があると便利

家庭血圧は数日分の平均で評価します。朝と晩の測定値を記録し、平均を表示してくれる機能があると、受診のときに医師に見せやすくなります。スマートフォンのアプリと連携してグラフにできる機種もあります。

4. 医療機器の認証があるものを選ぶ

家庭用血圧計は「管理医療機器」です。パッケージや説明書に医療機器認証番号が記載されている製品を選びましょう。

家庭血圧の正しい測り方

タイミング条件
朝起床後1時間以内、トイレを済ませたあと、朝食や薬を飲む前
晩寝る前(入浴・飲酒の直後は避ける)
  1. 背もたれのある椅子に座り、足を組まずに1~2分ほど安静にします。
  2. 腕帯を心臓の高さに合わせて巻きます(薄手の服の上からなら可、厚手の服やまくった袖で腕を締めつけない)。
  3. 測定中は話したり動いたりしません。
  4. 1回の機会に2回測定し、その平均を記録します。
  5. 朝晩の測定を5~7日続け、その平均値で評価します。

数値に一喜一憂せず、毎日続けることがいちばん大切です。測った値はすべて記録し、低い値だけを選んで残さないようにしましょう。

高血圧のリスク

高血圧は自覚症状がほとんどないまま、血管に強い圧力をかけ続けます。そのため「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれます。長く続くと動脈硬化が進み、次のような病気のリスクが高まります。

臓器起こりうる病気
脳脳梗塞・脳出血・くも膜下出血、認知症
心臓心筋梗塞・狭心症、心肥大、心不全、心房細動
腎臓慢性腎臓病、腎不全
血管大動脈瘤、大動脈解離、足の血管が詰まる末梢動脈疾患
目高血圧性網膜症(視力低下)

血圧が高いほどリスクは高まり、正常高値血圧(120/80mmHg以上)の段階から脳卒中や心臓病が起こりやすくなることがわかっています。高血圧は日本人の脳心血管病の最大の原因のひとつとされ、血圧を適切に下げることで、これらの病気を大きく減らせます。

すぐに受診したほうがよい場合

血圧が180/110mmHg以上のときや、激しい頭痛、胸の痛み、息苦しさ、手足のしびれ・まひ、ろれつが回らないなどの症状があるときは、ためらわずに医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。

体重・BMIと血圧の関係

血圧と体重は深く関係しています。肥満になると、体を流れる血液量が増えて心臓の負担が大きくなるほか、内臓脂肪から血圧を上げる物質が分泌されたり、インスリンの働きが悪くなって塩分をため込みやすくなったりします。肥満の人は、そうでない人に比べて高血圧になりやすいことが知られています。

逆に言えば、体重を減らすことは血圧を下げる効果的な方法です。研究では、体重を1kg減らすと血圧がおよそ1mmHg下がるという結果が報告されており、ガイドラインでもBMI25未満を目指した減量が勧められています。肥満の人なら、4~5kgの減量でも血圧の改善が期待できます。

まずはBMI計算で自分の肥満度を確認しましょう。BMIが25以上なら、減量計画の計算で無理のないペースを立てられます。お腹まわりの内臓脂肪が気になる人は、血圧・血糖・脂質の値とあわせてメタボ判定チェックも試してみてください。

血圧を下げる生活習慣

高血圧の予防と治療の基本は生活習慣の見直しです。薬を飲んでいる人も、生活習慣の改善を続けることで薬の効果が高まります。

項目目標・ポイント
減塩食塩は1日6g未満。汁物は1日1杯、麺類のスープは残す、しょうゆやソースは「かける」より「つける」
野菜・果物カリウムの多い野菜・果物、低脂肪の牛乳・乳製品をとる(腎臓病の人は医師に相談)
減量BMI25未満を目指す。まずは今の体重から数kg減らすだけでも効果あり
運動速歩きなどの有酸素運動を中心に、筋トレも組み合わせる
お酒飲みすぎない(量を控える)
禁煙加熱式たばこも含めて禁煙する
その他寒さ対策(冬の脱衣所やトイレを暖かく)、十分な睡眠、便秘やストレスへの対処

日本人の食塩摂取量は平均で1日約10gと多く、減塩は特に効果が期待できる対策です。体重を減らしながら塩分も控えると、相乗効果で血圧が下がりやすくなります。1日に必要なカロリーの目安は1日の消費カロリー計算で確認できます。

血圧と一緒にBMIもチェックしましょう

血圧が高めと言われた人は、体重の管理が改善の近道です。BMI計算で肥満度を確かめ、適正体重を目標にしてみてください。

よくある質問

上の血圧だけ高い(または下の血圧だけ高い)のは問題ですか?

どちらか一方だけが基準を超えている場合も高血圧と判定されます。上の血圧だけが高い「収縮期高血圧」は高齢者に多く、動脈硬化で血管が硬くなることが主な原因です。下の血圧だけが高いタイプは比較的若い人に多く見られます。いずれも放置せず、家庭血圧を記録して医師に相談しましょう。

測るたびに数値が違うのですが、どれを信じればいいですか?

血圧は呼吸や姿勢、緊張でも変わるため、毎回数値が違うのは普通です。1回の値ではなく、朝晩2回ずつ測った平均を数日分集めて評価します。1回目が高く出やすい人は、2回目までの平均を記録しましょう。

右腕と左腕、どちらで測るのがよいですか?

どちらで測っても構いませんが、毎回同じ腕で測りましょう。左右で10mmHg以上の差が続く場合は、血管の病気が隠れていることがあるので医師に相談してください。

血圧が低いのは問題ありませんか?

一般に上の血圧が100mmHg未満を低血圧ということが多いですが、症状がなければ治療の必要はないことがほとんどです。立ちくらみやめまい、だるさが強い場合や、降圧薬を飲んでいて低くなりすぎる場合は医師に相談しましょう。

高血圧と言われたら、すぐ薬を飲む必要がありますか?

血圧の高さや、糖尿病・腎臓病などほかのリスクの有無によって異なります。まずは生活習慣の改善から始めて経過を見ることも多い一方、血圧がかなり高い場合やリスクが高い場合は早めに薬による治療が勧められます。自己判断せず、医師と相談して決めましょう。

参考資料

  • 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』
  • 日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』
  • 日本高血圧学会『家庭血圧測定の指針 第2版』
  • Neter JE, et al. Influence of weight reduction on blood pressure: a meta-analysis of randomized controlled trials. Hypertension. 2003
  • 厚生労働省『国民健康・栄養調査』

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